RATO,有機系太陽電池の実証試験を開始

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトにおいて,新たな太陽光発電の利用方法の開発を進めている有機系太陽電池技術研究組合(RATO)は,この度NEDOプロジェクトの一環として,埼玉県所沢市と協定を締結し,低日射や低光量の場所でも機能する有機系太陽電池を用いた自立型発光デバイス(自発光誘導灯「E-SEG」)の実証試験を開始した(ニュースリリース)。

この実証試験では,「E-SEG」を同市内に設置し,実使用環境下における耐久性などの性能を確認し,課題の抽出と解決を進め,実用化を目指す。

太陽光発電の導入が急速に進む一方で,太陽光発電の特長を生かした利用方法(独立電源,自家消費など)はさらなる拡大の余地がある。特に,有機系太陽電池は,低日射や低光量でも発電できる利点があるため,従来利用されていなかった分野での活用が期待されている。

NEDOは,こうした期待に応えるため,太陽光発電の新たな利用方法の開発を進めてきた。こうしたプロジェクトの一つとして,RATOは,有機系太陽電池をLED,蓄電池と組み合わせ,緊急時に誘導灯として使用する「E-SEG」を開発している。

「E-SEG」は,低日射や低光量でも発電し,コードレスで電源や配線の制約がなく,また,特殊な架台なども必要としないため,低コストで設置することができる等の特長がある。

今回,RATOと所沢市は,NEDOプロジェクトの一環として,有機系太陽電池の実証試験に関する協定を締結した。所沢市は「マチごとエコタウン所沢構想」を掲げ,太陽光発電など再生可能エネルギーの導入をはじめ,様々な取組を進めており,この協定の締結も積極的に進めた。

今回の実証試験では,150mm角で1mの発光体をもつ「E-SEG」を,同市内の航空公園駅周辺に49個設置し,日没から日の出までの間,誘導灯として発光させ,実使用環境下における耐久性などの性能を確認し,課題の抽出と解決を進め,実用化を目指す。

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