国立極地研究所,脈動オーロラの仕組みを解明

国立極地研究所の研究グループは,脈動オーロラが明滅を起こす原因が電場の振動であることを,地上と衛星の同時観測により明らかにした(ニュースリリース)。

脈動オーロラは10秒前後の周期で明滅を繰り返すオーロラであり,オーロラ爆発の直後にはいつでも現れる普遍的な現象。しかし,この明滅がどうして起こるのかは謎のままだった。

また,脈動オーロラの発生機構を理解するためには,全天カメラによる地上からの観測と,衛星による磁気圏・電離圏での電場,磁場などの同時観測が必要だとされていた。

しかし,とくに発生頻度の少ないオメガバンド型脈動オーロラについては,衛星・地上同時観測のデータを得ることができていなかった。

2011年3月1日,幸運にも,観測衛星がオメガバンド型脈動オーロラの領域内を通過し,オーロラ内のプラズマ波動,電子や陽子などの粒子,そして電磁場などの振る舞いを得るなど,衛星・地上同時観測の非常に研究価値の高いデータを取得した。

研究グループは,衛星の観測データを詳しく比較し,直流電場と静電波動が他の成分よりも大きく周期的な変動をしており,その周期は地上で観測されたオーロラの脈動の周期と同じであったことを見出した。

これにより,直流電場と静電波動が脈動オーロラの強度変化に直接関与していることが,観測事実から初めて明らかになった。

この成果はまた,磁気圏に過剰に流入した高エネルギー電子が電離圏に降り注ぐ過程の研究や,磁気圏と電離圏の相互作用の研究など,太陽と地球の関係を理解するための鍵となる事象の研究にも役立つと期待されるものだとしている。

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