浜ホト,ワイドダイナミックレンジ光電子増倍管モジュールを開発

浜松ホトニクスは,1回の計測で強弱2系統の出力を同時に得ることで,弱い光から強い光まで広いダイナミックレンジの計測を実現する,ワイドダイナミックレンジ光電子増倍管モジュール「H13126」を新たに開発した(ニュースリリース)。

同時に開発したインターフェースユニット「C12918」をセットにして,検体検査等の化学発光計測や半導体ウエハ検査などの用途に向けて,国内外の各種検査装置メーカーに6月1日からサンプル出荷を開始,10月に販売を開始する。価格は「H13126」が259,200円,「C12918」が324,000円,セットが583,200円。

極微弱な光を検出するデジタル(フォトンカウンティング)出力と,それよりも光量の多い目に見えるレベルの光を検出するアナログ出力を同時に取り出すことで,1回の計測で広いダイナミックレンジを得ることを可能にした。

また,USB接続により,コンピュータへデータを取り込むインターフェースユニットも同時に開発した。付属ソフトにより2系統の信号の合成が可能となる。

従来,広いダイナミックレンジが必要とされる化学発光計測には,感度を可変する方法や光量を調整して2回計測する方法などが用いられてきた。この製品により,タイムラグがない連続計測が可能となる。また,半導体ウエハ検査装置などのごみ,キズの散乱光計測にも応用できる。

この製品は,目に見えない微弱な光をフォトンカウンティング(光子計数)法により,1秒間に数個から数百万(106)個(6桁)までを計測すると同時に,光量が多い目に見える光の電気信号をアナログ量として計測する。アナログ量は,カウント値に換算して1秒間に数百万個から50億(5×109)個相当(3桁)までを計測する。ノイズとなるダークカウントを引いても,1回の計測で8桁の広いダイナミックレンジを得ることが可能となった。

フォトンカウンティング出力は光量が多くなると飽和してしまう一方,アナログ出力は微弱光領域でSN比(信号量と雑音量の比)が良くない。微弱光領域向けのフォトンカウンティングと大光量向けのアナログ出力を組み合わせて,広いダイナミックレンジをSN比良く計測することができる。

同社は今後,顧客の要望に応えるため,サイドオン型や近赤外域850nmまで波長域を広げたマルチアルカリ光電面の開発も進めていくとしている。