NEDOら,超高効率モータ用分析評価装置を開発

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と高効率モーター用磁性材料技術研究組合(MagHEM)は,モータ電磁損失の分析装置として,磁気軸受を搭載した超高精度モータ損失分析装置と薄帯状高効率鉄心材料の応力下磁気特性評価装置を世界で初めて開発した(ニュースリリース)。

今回,これまでモータの損失評価の誤差の原因となっていた機械損失の変動要因低減技術として,磁気浮上し,機械摩擦損失の無い磁気軸受を採用した。磁気軸受の一方にトルク検出器を介して負荷モータを取り付け,他方に直接供試モータを取り付ける構造とすることで,供試モータの取付け性に優れ,供試モータ側には機械的接触部が一切無い構造とした。これにより,高精度に安定したモータ電磁損失の測定が実現し高精度の損失分析が可能となった。

また,次世代のモータ用鉄心素材として期待される薄帯状材料に応力を加えた際の磁気特性を評価する装置を世界で初めて開発した。モータを回すための電磁石部分を構成する鉄心は,現在は厚み0.3~0.6mmの電磁鋼板を積み上げる構造が主流だが,この鉄心部分には将来,損失が小さいアモルファス材あるいはナノ結晶材と呼ばれる薄帯状材料が適用されると予想されている。一方,モータの回転力を支えるために,鉄心部分を強固に固定する必要があるが,保持する力を加えることで鉄心での損失が増加し,素材の特性が活かせない可能性がある。

今回,髪の毛の太さよりも薄い約20μm厚の材料を折り曲げずに圧縮力を加える技術を新規に開発した結果,磁気特性の低下を定量的に評価できるようになった。今後はこのデータを用いて,高効率な素材特性を活かしたモータの設計を進めていくとしている。

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