NEDO,人工光合成の水素製造でエネルギー変換効率2%を達成

人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChm)は,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発」(人工光合成プロジェクト)において,太陽光を利用した光触媒による水からの水素製造で世界最高レベルとする,2%の太陽エネルギー変換効率を達成したと発表した(ニュースリリース)。

プロジェクトは2012年度にスタートし,「光触媒」「分離膜」「合成触媒」の3つのテーマで研究開発に取り組んでいる。開発期間は2021年度までの10年間となっており,現在4年目に突入している。

今回の研究成果は光触媒に関するもので,2014年度までの目標値であった1%の太陽エネルギー変換効率を上回る。研究チームは,可視光領域の光を吸収する水素と酸素発生用光触媒の中で組み合わせの最適化を図り,シート状に成形した光触媒を用いて,性能評価のためにパラレルセル(タンデム配置)を作成した。このセルで太陽エネルギー変換効率を測定した結果,最高値2.2%(1時間平均値で1.95%)を達成した。

また,将来の実用化を想定し,水素と酸素発生用光触媒を同じ基板上に成形した混合型光触媒シートも開発し,水素と酸素の発生を確認した。

最終的には目標値としている10%の太陽エネルギー変換効率の実現を目指す。さらに,光触媒を組み込んだ水素/酸素製造用の光触媒モジュールの開発を進め,プロジェクト全体として,同時に開発している分離膜技術と合成触媒技術を組み合わせることにより,新たな基幹化学品製造基盤技術を確立する。


水素発生用と酸素発生用光触媒をタンデム配置したモジュール

水素発生用と酸素発生用光触媒を1枚のシートに乗せた光触媒シート