住友電工,125㎛クラッド8芯マルチコアファイバを開発

住友電気工業(住友電工)は,短距離伝送用途に適した,125μmのガラス径の中に8つのコアを内蔵する新型マルチコア光ファイバ(MCF)を開発し,世界最高密度のMCFケーブルを実現した(ニュースリリース)。

今回,汎用光ファイバと同じガラス外径である125μmのクラッドを有し,波長分散の小さな1.3μm付近の波長帯において汎用シングルモードファイバと同等の光学特性を有するコアを8つ内蔵し,光信号が異なるコアに漏洩し信号品質を劣化させるコア間クロストークも抑制したMCFを世界で初めて開発した。

これまでに開発されたMCFの多くは,各コアの良好な光学特性・コア間クロストークの抑制を実現しながらコア数を増大するために,クラッド外径を汎用的な光ファイバの125 μmより太くしていた。

今回,8つのコアを内蔵することで,既に広く用いられている25Gb/s信号の送受信技術を用いて,1本の光ファイバで100Gb/sの双方向通信が可能となり,また,各コアの光学特性は,1.3μm帯で高集積なデバイスを実現するシリコンフォトニクス技術との高い親和性が期待される。

更に,汎用光ファイバと同じガラス径の実現により,汎用光ファイバと同等の機械的信頼性を実現でき,また,汎用光ファイバ向けのさまざまな関連技術(ケーブル化技術や,コネクタ等の接続関連技術など)を活用することができる。

実際に,今回開発したMCFを12本内蔵するMCFケーブルも試作し,3mmの外径の中に96コアを内蔵する世界最高密度の光ファイバケーブルを実現した。試作した1.1kmのMCFケーブルの1.3μm帯での伝送特性を,同社製100Gイーサネット(100GBASE-LR4)用光トランシーバを用いて評価し,光ファイバ1本あたり,汎用シングルモードファイバの8倍となる800Gb/s(8コア×4波長×25Gb/s)の信号を,有意なパワーペナルティなしにエラーフリー伝送が可能なことも確認した。

このことから,試作したMCFケーブルの伝送容量は少なくとも9.6Tb/s(12ファイバ×8コア×4波長×25Gb/s)の伝送が可能であり,送受信方式の改善による更なる伝送容量拡大の可能性が拡がる。

今後同社は,さまざまな通信用途に用いるMCFの実用化に向けて,ファイバの生産性の向上や接続関連技術の開発などに取り組むとしている。なお,この研究は情報通信研究機構(NICT)の委託研究「革新的光ファイバの実用化に向けた研究開発」の一環として行なわれた。

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