東北大ら,ダイヤモンドと窒化ホウ素の接合界面の原子構造を特定

東北大学は,物質・材料研究機構(NIMS)と共同で,最先端の超高分解能走査透過型電子顕微鏡と第一原理計算手法を駆使し,最も硬い物質として知られるダイヤモンドと,ダイヤモンドの次に硬い立方晶窒化ホウ素同士の接合界面の原子構造,結合メカニズムを,原子レベルで決定することに初めて成功した(ニュースリリース)。

立方晶窒化ホウ素(c-BN)は,窒素原子Nとホウ素原子Bの間に配位結合が形成され,炭素Cのみから成るダイヤモンドと同等の共有結合性や硬度を有し,ダイヤモンドと同じく正四面体構造(ダイヤモンド構造)をとる。しかしながら平均原子間隔(格子定数)が両物質で1.4%ほど異なる上,いずれも共有結合性の大きな物質であるため,両者の接合は極めて難しいものと予測されていた。

もし接合したとしても,c-BN/ダイヤモンド境界面上には不整合が生じるため,この不整合を緩和するためには転位などの周期的な欠陥構造の導入が必要となる。しかし,金属とは異なりいずれも硬い共有結合性物質のために原子の緩和が必要な転位の導入も困難だと考えられていた。

研究グループは,近年の原子分解能走査透過電子顕微鏡法の技術革新と第一原理による大規模な理論計算を併用することによって,ダイヤモンドと窒化ホウ素の接合界面では,炭素とホウ素が結合していることや,転位と呼ばれる欠陥が特徴的な構造をとっていることを明らかにした。

研究グループは今後,今回の研究を起点にし,このような欠陥構造の形成を制御することで,デバイス材料の特性向上や格子欠陥構造を活用した新規デバイスの設計,新機能材料の研究開発につながることが期待されるとしている。

関連記事「理研ら,太陽電池の接合界面に相競合状態を持たせ光電変換効率を向上することに成功」「産総研ら,有機太陽電池においてp-n接合界面が「汚い」方が性能に優れることを発見