東大らが開発したイオンエンジン,宇宙空間での動作に成功

東京大学と次世代宇宙システム技術研究組合(代表理事:山口 耕司)が共同で開発を進め,ロシアのヤスネ基地から2014年6月19日に打ち上げられた超小型衛星「ほどよし4号」に搭載した小型イオン推進システム(MIPS:Miniature Ion Propulsion System)が,宇宙での初作動に2014年10月28日成功した(ニュースリリース)。

近年,高性能宇宙用推進機であるイオン推進システム(イオンスラスタを搭載した推進システム)は,宇宙探査および商用衛星における実用化が急速に進んでいる。しかし,これまで100 kg以下の小型衛星に対する実用化は,電力およびサイズの制限により実現されていなかった。

この小型イオン推進システムは低電力小型イオンスラスタ(イオンエンジン)を使用し,かつ各コンポーネントの小型化,軽量化および低消費電力化を進めたことで,50kg級衛星への搭載が可能となった。超小型衛星「ほどよし4号」への搭載による宇宙での作動実証は,100kg以下の小型衛星における世界初の小型イオン推進システムの実証であり,今後の小型衛星におけるイオン推進システム利用の先駆けとなるもの。

イオン推進システムは長時間(100時間以上)の作動によって真価を発揮するシステムのため,開発チームは今後,衛星の軌道修正計画に沿った定常運用を実現するべく初期運用を継続していくとしている。

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