田中貴金属工業,粉末焼結積層法向け白金基金属ガラスの粉末を開発

田中貴金属は,粉末焼結積層法によるAM(Additive Manufacturing)装置に対応する白金基金属ガラスの粉末を開発し,実際に造形にも成功したと発表した。また,白金及びイリジウム添加ニッケル基合金の白金族金属粉末材料も開発し,これについても造形物の作製に成功した(ニュースリリース)。

 

同社は,2004年に白金基金属ガラスの組成で特許を取得しているが,今回独自の加工設備を用いて粒径や流動性などを調整することで,これら材料の粉体化を実現した。白金族金属は,高融点で耐久性があるが,特に合金は切削加工や塑性加工などの加工性が低いものも多く,既存の造形法では形状に限界があった。今回,大阪大学産業技術総合研究所と共同で,粉末の材質と形状に適したレーザエネルギーの照射条件を解明することにより,開発した粉末材での造形物の作製を可能にした。

開発した材料は,耐食性が要求される医療材料の多品種少量製造や,耐熱性が要求される自動車・宇宙航空産業分野における特殊部品の工業用製品への展開が期待されている。同社は2020年度までに年間売上げ4億円を目指す。