NIESら,太陽紫外線によるビタミンD生成と皮膚への有害性を評価

国立環境研究所(NIES)と東京家政大学の研究チームは,日々の生活に必要なビタミンDを日光浴によって摂取するために必要な時間を,顔と両手の甲を露出させた条件で計算した(ニュースリリース)。

紫外線は過剰に浴びると人体に有害となることが知られているが,一方でビタミンD生成のために一定量の紫外線を浴びることも必要とされている。研究チームはビタミンD生成のための紫外線の量と有害と考えられる紅斑紫外線量双方の関係について実際に試算し,それぞれを評価した。

NIESは,SMARTS2と呼ばれる放射伝達モデルをもとに,地上に到達する紫外線量を,大気中のオゾン量とエアロゾル量をもとに計算するシステムを開発し,ビタミンD生成紫外線量及び紅斑紫外線量を同時に算出することを可能にした。

その結果,成人が健康な生活を送るのに必要なビタミンDを体内で生産するために必要な日光浴の時間は,冬の12月の晴天日正午の札幌,つくば,那覇について,それぞれ139分,41分,14分と見積もられたという。

一方,皮膚に有害な影響を及ぼし始める時間は,その約2~3倍である227分,98分,42分と見積もられた。従って,特に冬季の北日本では,健康のためには積極的に日光浴することに加え,ビタミンDの補充が必要と考えられるとしている。

研究チームはこの計算結果を踏まえ,国内5か所における日光浴推奨時間に関する情報を,11月27日(木)から研究所のウェブサイトで公開を始めている。

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