NEDO,3Dプリンタを用いて立体組織・臓器を製造する技術開発に着手

NEDOは,バイオ3Dプリンタや細胞シート積層技術などの立体造形技術を用いて,iPS細胞などから骨や血管,心臓などの立体組織・臓器を製造する技術開発に着手する(ニュースリリース)。事業期間は2014年から5年間,総事業費は約25億円を予定しており,5テーマ29者を選定した。

これまで,再生医療の技術開発では,iPS細胞等の培養や分化誘導など再生医療に用いる細胞をいかに効率良く調製するかについての技術開発が精力的に行なわれてきた。今回のプロジェクトでは,これらの細胞を用いて,バイオ3Dプリンタや細胞シート積層技術などによる立体組織・臓器を製造する新たな技術開発段階へステップアップさせ,再生医療製品の実用化に向けた一歩を踏み出す。

採択テーマと委託予定先は以下の通り。
・高機能足場素材とバイオ3Dプリンタを用いた再生組織・臓器の製造技術の開発
3Dプリンタを用いて細胞が住みつくための足場を構築し,そこに細胞を注入することにより,骨,軟骨・半月板,膝関節,皮膚を作製する。
委託先:東京大学,大阪大学,福田学園大阪保健医療大学,産業技術総合研究所,富士フイルム,シーメット,JMC,オリンパステルモバイオマテリアル

・バイオ3Dプリンタで造形した小口径Scaffold free細胞人工血管の臨床開発
バイオ3Dプリンタを用いた細胞塊の積層技術により、小口径の血管を開発する。
委託先:佐賀大学,京都府立医科大学,サイフューズ

革新的な三次元精密細胞配置法による立体造形と小口径血管を有するバイオハートの研究開発
3Dプリント技術により,ミクロなレベルから構造及び形状が制御された機能的な立体心筋を開発し,新たな再生医療製品としての実用化を目指す。
委託先:大阪大学,東レ,リコー,横浜市立大学,弘前大学,名古屋大学,協和発酵バイオ

組織工学を用いたヒト心臓壁立体造形技術の開発
ヒトiPS由来細胞シートにゼラチンハイドロゲル等の生体吸収性物質などをはさみ込み,酸素や栄養分を供給する仕組みを作ることで,細胞の生存と機能を維持した従来にはない厚みのある立体心筋を作製する。
委託先:国京都大学,旭硝子,iHeart Japan

細胞シート工学を基盤とした革新的立体臓器製造技術の開発
生体由来の血管網の上にiPS細胞由来の心筋シートを段階的に積層することで心筋中心部まで栄養分が供給される構造を作製する。
委託先:東京女子医科大学,早稲田大学,慶應義塾大学,大阪大学,東海ヒット,コージンバイオ,セルシード,パナソニックヘルスケア

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