名大ら,オーロラがばらばらになる過程のひとつを明らかにすることに成功

名古屋大学,情報通信研究機構,国立極地研究所,カナダカルガリー大学,同アサバスカ大学,同サスカチュワン大学らは共同で,カナダやノルウェーで観測されたオーロラが,ちぎれ雲のようにばらばらになる過程のひとつを明らかにした(ニュースリリース)。

オーロラの形は大まかにわけて,よく知られているようなカーテン状に拡がったオーロラ(アーク状オーロラ)と,ちぎれた雲のように空のあちこちでばらばらにかたまり状に光るオーロラ(パッチ状オーロラ)に分けられる。このパッチ状オーロラがどのように形作られているかは,これまでよくわかっていなかった。

名古屋大学の研究グループでは,この点に特に注目してオーロラの高感度撮像に取り組み,これまでのオーロラ観測で得られた画像データを詳細に解析していた。

今回の研究成果は,カナダのアサバスカ観測点とノルウェーのトロムソ観測点で,カナダのカルガリー大学や名古屋大学が実施している全天カメラによるオーロラの撮像データから得られた。これらのオーロラ画像の時間変化から,空に一様に拡がったオーロラの中に指のように切れ込みが入っていき,最終的にばらばらのオーロラになることが明らかになった。

このような切れ込みは,地球のまわりの宇宙空間を取り巻いている目に見えない電子やイオンの中に入道雲のような不安定な構造が発達して,それがオーロラをばらばらの構造に分けていることを示しているという。

オーロラを引き起こしている高エネルギーの電子やイオンは,人工衛星に衝突すると機器の障害を引き起こすことが知られている。オーロラの動きや形はこの目に見えない電子やイオンの動きや分布を表しており,研究グループは,このような高エネルギーの電子やイオンが,地球のまわりの宇宙空間でどのような動きをしているかを示す重要な結果であるとしている。

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