富士フイルム,レーザ光源内視鏡用の特殊光色彩強調機能を発売

富士フイルムは,内視鏡システムの光源にレーザを用いた内視鏡システム「LASEREO(レザリオ)」用の新たな画像処理機能として,粘膜のわずかな色の違いを強調して,炎症の診断をサポートする「LCI(Linked Color Imaging)」を,10月23日より富士フイルムメディカルを通じて提供する(ニュースリリース)。

内視鏡による消化管粘膜の観察では,正常な粘膜と炎症のある粘膜を見分ける必要がある。例えば,ヘリコバクター・ピロリ菌などが原因となって胃の粘膜が炎症を起こした場合,胃粘膜が薄く痩せてしまう「萎縮」が進み,胃がんを引き起こしやすい状態になるため,粘膜の炎症を早期に見つけることが非常に重要になる。

しかし,正常な粘膜と炎症部はわずかな色の違いしかないことから,炎症部の発見や炎症の度合いの判断などが難しい場合があり,医療現場からは,「炎症の診断の客観性を高めたい」というニーズが高かった。

「LCI」は,波長の異なる「白色光観察用レーザ(白色光用レーザ)」と「狭帯域光観察用レーザ」の2種類のレーザ光による病変観察が可能な内視鏡システム「LASEREO」用の画像処理機能。「LCI」は,「白色光用レーザ」で画面の明るさを保ちながら,重ねて照射される「狭帯域光観察用レーザ」で粘膜内の血液のコントラストを高めた画像に対し,赤色領域の色分離が良くなる画像処理を行なう。

消化管の正常な粘膜,萎縮粘膜,発赤などを診断するうえで重要になる粘膜の色は,赤色領域に集中している。「LCI」は,これらの粘膜色に近い色の彩度差・色相差を拡張する画像処理を行なうことで,粘膜のわずかな色の違いを強調して,炎症の診断をサポートする。

同社では今後,「LCI」を「LASEREO」システムの標準機能として提供していく。すでに医療機関に導入されている「LASEREO」にも,この機能を追加搭載することができる。

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