富士フイルム,動物細胞株を従来比約2/3の期間で作製する技術を開発

富士フイルムの子会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies USA., Inc.(FDBU)とFUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited(FDBK)は,高生産性細胞作製技術「Apollo™(アポロ)」を開発したと発表した(ニュースリリース)。

この「Apollo™」により、バイオ医薬品の量産に適した動物細胞株を同社従来比約2/3の期間で作製できる。また,この動物細胞株を用いることで,培養タンク1Lあたり,同社従来比約5倍のタンパク質産生を実現した。

「Apollo™」は,(1)使用実績豊富で安全性の高い細胞(DG44細胞)の選択,(2)独自開発したベクターを用いた遺伝子組み換え技術,(3)性能の良い細胞株を迅速にスクリーニングする技術,(4)動物由来成分を含まないため安全性が高く,かつ細胞培養特性に優れた培地の開発,の4つを組み合わせた独自のもの。

今回の技術により,動物細胞株作製期間を同社従来比約2/3に短縮できるという。具体的には,製造にすぐ転用可能な動物細胞株を,同社従来比約2/3の約25週間で作製できる。また,作製した動物細胞株は,タンパク質の高い産生性,高い細胞増殖性,繰り返し増殖しても細胞の性質が変化しない高安定性を備えているため,培養タンク1Lあたりのタンパク質を同社従来比約5倍産生できる。

この技術を活用して作製した動物細胞株は,抗体医薬品の開発の初期段階から臨床試験,商用生産に至るすべての段階に使用できるという。今後,FDBUとFDBKは,「Apollo™」を活用して,バイオ医薬品の開発期間の短縮化を図り,革新的なバイオ医薬品の早期創出に貢献するとしている。

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