島津製作所,ランニングコストを低減したマルチタイプICP発光分析装置を発売

島津製作所は,ソフトウェアの高い操作性を維持しながら,優れた設計によってスループットを向上させ,新機能のEcoモードの搭載によってランニングコストの低減を実現したマルチタイプICP発光分析装置「ICPE-9800シリーズ」2機種「ICPE-9810」/「ICPE-9820」を発売した(ニュースリリース)。価格は「ICPE-9810」が1450万円~,「ICPE-9820」が1540万円~。

ICP発光分析装置は,約7,000度に熱したアルゴンガスによって生成される誘導結合プラズマ(ICP)中に酸やアルカリに溶解したサンプルを噴霧することでサンプルに含まれている原子を励起し,元素特有の光を放出させる。

この光の輝線スペクトルを検出することで,元素の定性・定量を行なうことができる装置。測定できる濃度範囲が広く,多元素を同時に分析できるため,土壌や飲料水,食品・医薬品,金属材料といった様々な分野で,研究開発や品質管理に利用されている。

同シリーズは,プラズマを同軸方向に測光する軸方向観測(Axial view)に対応した「ICPE-9810」と,垂直に測光する横方向観測(Radial view)も使い分けることができる両方向観測に対応した「ICPE-9820」をラインナップした。

プラズマトーチのレイアウトやプラズマ条件を最適化したことで短いリンス時間で安定した分析を可能にし,操作性に優れた制御用のソフトウェアICPEsolutionによってデータ解析をスムーズに行なうことができる。上位モデルの「ICPE-9820」は,高感度な軸方向観測と高精度な横方向観測を自動で切り替えて測定できるため,幅広い濃度範囲の元素を1つのメソッドで分析できる。

また,待機時に自動でアルゴンガスの流量や使用電力を抑える新機能のEcoモードを搭載したことで,待機時における電力消費量とアルゴンガス消費量を前機種の約1/2に削減できる。また,使用するアルゴンガスも,一般に用いられている純度99.999%以上のものだけではなく純度99.95%でも性能を保証している。