三菱日立パワーシステムズ,環境省から集光型太陽熱発電の技術開発業務を受託

三菱日立パワーシステムズ(MHPS)グループのバブコック日立(BHK)は,環境省から平成26年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業として,集光型太陽熱発電(CSP)システムの技術開発業務を受託した(ニュースリリース)。

低コストで運用性に優れた太陽熱発電システムの開発に取り組むもので,MHPSもこの取り組みに参画,両社が統合する10月1日以降は,MHPSが受託業務全体を推進する。

集光型太陽熱発電は,太陽熱を集光して高温の蒸気を生成し,蒸気タービン発電機を用いて発電するシステム。実用化の課題となるのはコスト面で,今回の委託事業ではその克服のカギとなる低コストの集光・集熱システムの開発・検証を目指すとともに,高温蓄熱システムの要素検証と発電設備を含めた全体システム最適化技術の開発に取り組む。

期間は3年間。集光・集熱の検証設備をMHPS横浜工場(本牧地区)に建設し,2016年には試験運転を開始する予定。

集光型太陽熱発電は太陽光発電に比べ,日射量変動時の発電出力の変動が小さく,また集めた熱を蓄熱設備で貯蔵して曇天時や夜間でも安定して電力を供給できるのが特長。その半面,システムが複雑で発電設備のコストが高くなるなどの課題がある。

BHKは,このような課題に対し,低温型フレネル蒸発器と小型タワー過熱器を組み合せて低コストを実現する独自のHSTS技術を考案した。

HSTS(Hybrid Solar Tower System)とは,水の蒸発までは300℃以下で使用する低温型フレネルを利用,それ以降の蒸気過熱は小型タワー上部レシーバへのヘリオスタット集光で行なうハイブリッド集光システム。最適な集光・集熱方式を組合せることで,設備の低コスト化が期待できるとしている。

MHPSとBHKは今回の事業を通じて,HSTS技術に高温蓄熱技術を組み合せたシステムの開発を進め,低コストで運用性に優れた集光型太陽熱発電技術の確立をはかる。

関連記事」「IBM,2,000倍集光の太陽光発電/蓄熱システムを2017年に市場投入」「東芝ら,風力・太陽熱・バイオマスによるバイナリー発電設備の実証実験を開始」「ニコン,太陽熱によるマグネシウム還元の実用化に向けた実証実験を開始