東工大,超音波振動により平らな床の上に浮上する移動プレートを開発

東京工業大学は,超音波振動を利用して平らな床の上に浮上する移動プレートを開発した(ニュースリリース)。200mm四方程度の面積で数kgf(重量キログラム)の荷重を搭載した場合,移動のための力が大幅に削減できるという。

工場内などで部品の移動パレットなどをなるべく少ない力で搬送する方式が望まれている。こうした要望に応えるため,超音波振動による音響放射力(超音波がものにあたったときに,超音波の進行方向にものを押す力)を利用して,振動板を床の上にわずかに浮上させる方式を開発した。

東京工業大学ではこれまでに,振動板上に液晶ディスプレイ用ガラスパネルを浮揚させる技術の開発を行なってきた。今回はこれとは逆に,平面床上に振動板を浮かす機構を開発した。

具体的には,約80mm角のアルミニウム板に圧電素子を接着した「たわみ振動板」4枚を1つの板に組み込み,200mm角程度の浮揚ユニットとした。このユニット1つで数kgf(重量キログラム)の荷重に耐え,少ない力で搬送できる。また,ユニット数を増やすことで大面積の搬送装置を実現できるとしている。

研究グループでは今後,100kgf程度の大型搬送装置の実現と共に,装置に搭載できる小型電源装置の開発を目指す。

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