新潟大,赤ちゃんが静止画から人物の「動き」を認識できることを発見

新潟大学は,生後5~8カ月の赤ちゃんが大人と同じように,絵や写真のような静止画によって表現された「動き」を認識できることを世界で初めて発見した(ニュースリリース)。

現代社会では,生後間もない赤ちゃんでも写真や絵などの様々な静止画に囲まれて生活しているが,赤ちゃんが静止画をどのように理解しているのか,特に躍動感,すなわち「動き」を静止画から認識できるかどうかは不明だった。

そこで研究グループは,生後5~8カ月の赤ちゃんに「動き」を感じるような写真を見せ,その直後の反応(眼の動き)を調べることによって,赤ちゃんが大人と同じように,絵や写真のような静止画によって表現された「動き」を認識できるかどうかを調査した。

大人では動きを感じる静止画を見ると,無意識のうちにその動きの先に注意が引きつけられる。そこで,左右いずれかの方向に「走っている」人物の写真を赤ちゃんに見せ,その直後に眼が左右どちらに動くかを繰り返し測定した。

その結果,生後5~8カ月の赤ちゃんでも写真の人物の走っている先に向けて,素早く視線を動かし注意を向ける傾向があることがわかった。また,こうした視線の動きは,写真の人物が左右いずれかの方向を向いてただ立ちどまっている写真や,走っている様子が写った写真を上下逆さまにした写真など,躍動感を感じにくい写真を見せた時には起こらなかった。こうした結果は,少なくとも生後5カ月以降の赤ちゃんが,静止画から「動き」を認識する能力を持つことを示すもの。

研究グループは今後,より幼い赤ちゃんでも,静止画から「動き」を認識できているかどうかを調べていくことが重要だとしている。特に,関連する脳領域が発達するとされる生後4~5カ月の前後で,静止画から「動き」を認識する心の働きに発達的な差があるかどうかを検討することは,脳の発達と心の発達の関連について解き明かす上で重要な課題であるとしている。

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