大型望遠鏡TMT,ハワイでの建設開始が決定

次世代超大型望遠鏡TMTの建設にむけ,建設・運用を担うTMT国際天文台が設立され,7月25日(米国・ハワイ時間),ハワイでの建設作業の承認を受けた。今年から現地での建設を開始する(ニュースリリース)。

次世代超大型望遠鏡TMT(Thirty Meter Telescope,30メートル望遠鏡)の本格建設が始まる。TMTの建設に向け,これまで,日本,米国,中国,カナダ,インドの5カ国の協力で準備が進められてきた。そして,2014年5月6日米国において「TMT国際天文台」(TIO)が法人登記され,設立された。

TMT国際天文台は,実際に望遠鏡建設を進める組織で,完成後には望遠鏡の運用も行なう。また,参加機関からの代表で構成される評議員会で方針や重要事項を決定する。

初回の評議員会は5月22日(米国・太平洋時間)に開催され,評議員会議長にはカリフォルニア大学サンタバーバラ校のヘンリー・ヤン学長が,副議長には国立天文台の家正則教授が選出された。初代のTMT国際天文台総括責任者には,カリフォルニア工科大学のエドワード・ストーン教授が就任した。

そして今回,新たに設立されたTMT国際天文台が実際にTMTの建設を行うことについてハワイ州からの許可がでた。これを受け,TMTは本格建設に入ることになった。

TMT建設において,日本は望遠鏡本体構造の製作と主鏡製作の一部という基幹部分を担当する。主鏡を構成する492枚の分割鏡(交換用を含めると574枚)の鏡材は全て日本が製作する。2013年からすでに量産に入っており,2014年3月までに60枚の鏡材が出来上がった。鏡面の研削・研磨加工も量産に入っている。

望遠鏡本体構造については,2013年までに基本設計が行なわれ,国際レビューに合格した。2014年度からはその詳細設計に入り,製造へと進んでいく予定。

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