凸版印刷とシスメックス,遺伝子解析・検査事業で提携

凸版印刷とシスメックスは,凸版印刷の子会社である理研ジェネシスにそれぞれ出資し,個別化医療における遺伝子検査事業において,相互に協力していくことに合意した(プレスリリース)。

患者個々に最適な医療(個別化医療)を提供するにあたり,個別の病態進行や薬剤効果の判定を可能とする,遺伝子検出技術や検出された遺伝子の解析を担うバイオインフォマティクが重要な役割を果たしている。

凸版印刷は,理化学研究所(理研)および理研ベンチャーキャピタルと共同で,2007年に理研ジェネシスを設立した。理研ジェネシスは,最先端の遺伝子解析技術やバイオインフォマティクスを活用した遺伝子受託解析サービスや製品を提供し,個別化医療における技術・経験・ノウハウを保有する。

凸版印刷は理研ジェネシスをライフサイエンス事業の中核に位置付け,凸版印刷の研究開発リソースを活用し,がん化の原因となる体細胞遺伝子の変異を迅速,簡便に検出できる遺伝子解析システムを共同開発するなど,個別化医療に向けた遺伝子検査領域において研究開発を進めている。

シスメックスは,個別化医療実現に向けた検体検査技術プラットフォームの拡充を目指し,2013年にはデジタルPCR技術を保有するInostics社の買収,研究機関や大学・医療機関とのオープンイノベーションによるバイオマーカー獲得など,その取り組みを強化している。

今回,遺伝子解析技術による個別化医療の実現という方向性の一致,3社の保有する技術のシナジーへの期待から,資本提携に至った。これにより,遺伝子検査に求められる技術プラットフォームを拡充し,日本発のコンパニオン診断(医薬品の効果や副作用を投薬前に予測するために行われる臨床検査。特に,医薬品の開発と同時に開発される検査)の世界展開を目指す。

また,中長期的には,バイオマーカーを新たな検査法として確立し,個別化医療への取り組みを加速させ,日本発遺伝子検査技術のグローバルでのポジション確立を目指すとしている。