ノリタケカンパニーリミテド,-40~250℃で1000回のサイクルに耐える金属セラミック基板を開発

ノリタケカンパニーリミテド(ノリタケ)は,NEDOプロジェクトにおいて,-40℃から250℃の温度範囲で1000回のサイクルに耐える耐熱サイクル性を実現した金属セラミック基板を開発した(プレスリリース)。同社はNEDOプロジェクトにおけるファインセラミックス技術研究組合。

金属セラミック基板は,次世代パワー半導体材料として期待される炭化ケイ素(SiC)を電力変換器に組み込む際の土台となる部品。SiC半導体の特長を活かすため,従来品を上回る耐熱性を実現し,高温環境・大電流に対応できることが求められている。

NEDOでは,SiCによるパワーモジュールを開発すると共に,その周辺技術として熱応力に耐え,発生する熱を効率よく逃がす放熱基板の開発を進めている。放熱基板には,窒化アルミや窒化ケイ素などの,熱伝導性の良いセラミック基板に,銅などの金属を接合した金属セラミック基板が使われている。

従来の技術では,銅箔を800℃から1000℃の高温でろう付けして回路パターンを形成するため,製品の使用中に,銅箔とセラミック基板の熱膨張率差で生じる製品劣化や,高温プロセスによる環境負荷が課題となっていた。

今回ノリタケは,金属ペーストの製造技術とセラミックス基板上に電子回路を形成する技術開発を進めた。そして今回,銅層の熱膨張率を2/3以下に下げ,印刷法と500℃以下の低温焼成で形成できる,金属セラミック基板の開発に成功した。

〔1〕過酷な温度変化が発生する使用環境での安定性を実現銅層の熱膨張率を銅箔(17ppm/℃)の2/3以下に下げることで,銅層を形成した回路基板において,-40℃⇔250℃で1000サイクルに耐える,耐熱サイクル性を実現した
〔2〕実装する部品の高低差を吸収銅箔を使わず印刷法でパターンを形成するため,銅層の厚みを調整することが容易。実装する部品の高低差を調節するなど,放熱基板を扱う自由度が高まる
〔3〕低温焼成によるコスト低減と品質安定500℃以下の低温焼成でパターンが形成できるため,焼成コストの低減と,焼成時に発生するセラミック基板/銅層界面の歪み軽減が期待される

今後,NEDOとファインセラミックス技術研究組合は実用化に向け,さらに耐熱サイクル性(現状:-40℃⇔250℃、1000サイクル)を向上させた基板技術開発を進める。また,同技術を実装技術に展開し,高耐熱SiCモジュールの実証を急ぐ。

ノリタケは,今回開発した金属セラミック基板を,その他の電子部品等も含め応用展開し,製品化を図っていく。