NICTら6者,個々に構築した100Gb/s級光ネットワークを用いた仮想ネットワーク構築実験に成功

KDDI研究所,三菱電機,情報通信研究機構(NICT),慶應義塾大学,イクシアコミュニケーションズ,東陽テクニカの6者は,個々に構築した100Gb/s級のコア,メトロ,そしてアクセスの光ネットワークを,ネットワーク構成をソフトウェアで動的に設定・変更できるネットワーク技術であるSDN(Software defined networking)の技術を用いて相互接続する仮想光ネットワーク構築実験に成功した(プレスリリース)。この技術は,データセンター間をつなぎ,広域クラウドを構成する大容量通信ネットワーク技術への応用が期待できるもの。

データセンター内外のネットワークには,今後100Gb/s級の光ネットワーク機器の導入と,通信品質や帯域等の異なる複数の多様なサービスを一つの通信事業者のネットワークに効率的に収容するためのネットワーク資源を分離し管理できる機構が必要となる。一方,多数の装置および複数のネットワークから構築されるネットワークが今まで以上に高速かつ複雑になると,運用コストの増大が課題となる。

昨今,運用コストの低減のため,そのような複雑なネットワークをSDN/OpenFlow等オープンソースのインタフェースにより一元的に集中管理する技術が注目されているが,これまで,多数の装置および複数の異なる方式のネットワークからなる大規模で大容量な光ネットワークを単一の制御装置により一元的に集中管理することは困難だった。

コア・メトロ・アクセスの各光ネットワークに配備された各ネットワーク制御装置が,自らが管理する物理ネットワークを簡易的な論理ネットワークとして統合制御装置(SDNコントローラ)に情報提供することで,100Gb/s級トランスポートネットワークを含む大規模ネットワークを一元的に制御できるSoftware Defined Transport Networkを,6者は相互接続実験により世界で初めて確認した。

5月22日~23日に開催される国際会議iPOP2014の公開デモンストレーションでは,100Gb/s級の光ネットワーク機器(試作プロトタイプ)を用意し,模擬データセンター間に仮想光ネットワークが構築できることを見せる。データセンター間を接続する光ネットワークとしては,100Gb/sの波長多重光伝送装置(三菱電機提供)と100Gb/s級の光パケット・光パス統合スイッチング装置(NICT提供)をメトロコア光ネットワークとして構築する。

模擬データセンター(イクシア,東陽テクニカ提供)とつながるアクセス部分には,エラスティック性を有する次世代光アグリゲーションネットワークのプロトタイプ機器(慶應義塾大学提供)を設置し,異なるタイプの装置で構築された光ネットワークをSDN/OpenFlowベースの統合制御装置(KDDI研提供)で制御する。

統合制御装置は,データセンターのユーザーからのリクエスト(帯域要求)に応じて,個々の仮想光ネットワークを構築する。これらは,100Gb/s級トランスポートのSDN/OpenFlow制御の初の公開実験となる。