奈良先端大,災害等の非常時に対応できるネットワークとして標準となりうる新技術を開発


奈良先端科学技術大学院大学は,西日本高速道路(NEXCO西日本)が導入した,大災害など緊急時にバックアップできる新通信ネットワーク技術の制御装置をベースにした交通管制システムを構築する際の実証実験に協力した。この結果,このネットワーク技術が標準規格と成る可能性を示した。

開発したネットワーク通信技術は,「OpenFlow/SDN通信ネットワーク技術」。ネットワークに接続された多種の通信機器のスイッチの様式などに関わらず制御できる技術として注目され,標準化が進められている。しかし,実装が異なる機種の間での整合性などの検証がまだまだ必要なものでもある。

NEXCO西日本は,この技術を活用した世界初の大規模システムとして,大災害で道路管制センターが重大な被害を受けた場合,他の被災しなかったセンターが短時間で最低限の機能を肩代わりできるシステムを構築している。

今回の標準規格準拠性についての実証実験は,ネットワークシステムの変化に柔軟に対応できる「OpenFlow」のスイッチを備えた100台を超える通信機器を配し,NEXCO西日本が新交通管制システムとして実運用することを想定したトポロジ(配線方式)で行なわれた。奈良先端大はネットワークの制御装置として開発したコントローラをこのシステムに接続し,スイッチの接続・設定投入にかかる時間や負荷の評価,データの転送設定が意図通りに実行されているかどうかの確認などを行なった。

今回の実証実験により,大規模なスイッチ群により構成されたネットワーク上の経路切り替えや障害復旧などの可能性が示された。今後の標準化作業においても大きな知見を与えるものと考えられる。