金沢工業大学大学院生が無線電力伝送に関するIEEE国際会議で学生論文最高賞を受賞

金沢工業大学 大学院電気電子工学専攻博士前期課程1年の伊藤元希氏は2014年5月8日(木),9日(金)の2日間,韓国済州島で開催された無線電力伝送に関するIEEE(米国電気電子学会)主催の国際会議「IEEE Wireless power transfer conference 2014(WPTC2014)」で,学生論文最高賞である「Best student paper award」を受賞した。

「IEEE Wireless power transmission conference」は無線電力伝送に関する代表的な国際学会で,2014年は世界19カ国から一般,学生を含む103件の論文の投稿があり,うち採択された論文は13カ国73件(採択率70.9%)だった。無線電力伝送は太陽光発電衛星から地上への送電や電気自動車のワイヤレス給電などを可能とするホットな研究分野で,世界中の研究者が実現にむけた研究開発にしのぎを削っている。

伊藤氏の研究は無線で伝送された電波を直流に変換する高周波の整流回路の高効率化に関するもの。すでに電子レンジやWiFiに用いられ,無線電力伝送にも用いられることが想定される2.4GHzで動作する。新たな回路方式により,安価なシリコン・ダイオードを用いた整流回路として世界最高の変換効率80%を,世界最小の実装面積4.5mm×4.8mmで実現した。

これは,例えば太陽光発電衛星から伝送された電気を地上で受電する場合,地上の数km四方に当回路を搭載した整流器を配列し,使用することを想定している。この研究は数十万kmという長距離の無線電力伝送も可能とする技術を,低コストでかつ世界最高の変換効率で実現するものとして学会で評価された。