NTT,W杯のSHVパブリックビューイングにブラジル-日本間のIP伝送技術を提供


日本電信電話(NTT)は,2014年6月,7月に日本放送協会(NHK)が実施する8Kスーパーハイビジョン(SHV)による2014 FIFA ワールドカップ ブラジルのパブリックビューイングにおいて,安定・高信頼なIP伝送技術を提供し,ブラジル-日本間(約1万8,000km)での超高臨場感ライブ映像伝送の実証実験を行なう(プレスリリース)。

NTTは今回,ブラジルのリオデジャネイロから東京まで,複数の国際研究教育ネットワークを相互接続してSHV伝送実験を行なった。具体的にはNTTの研究開発用テストベッドネットワーク「GEMnet2」,国立情報学研究所の学術情報ネットワーク「SINET4」,米国の「Internet2」,中南米の「RedCLARA」,ブラジルの「RNP」を相互接続した。

これにより,ブラジルから日本まで2つの伝送ルートによる実験網を構築し,2つのルートを併用してデータを伝送するマルチパス伝送を行なう。これにより,ネットワーク内のどこか1か所でトラブルが発生した場合も,もう一方のルートで伝送された映像データをそのまま利用することができるため,信頼性の高い伝送を行なうことが可能になる。

また,今回の伝送は共用ネットワークを使用するため,輻輳などの影響によりパケットロスが発生する可能性があるが,NTTが開発したパケット伝送用誤り訂正符号(FireFort-LDGM符号)を適用することより,パケットロスが発生した場合でも映像が途切れることなく,ブラジルから日本までSHV信号を安定して届けることが可能となった。

FireFort-LDGM符号は低演算負荷ながら,非常に強力な誤り訂正能力を持つ符号で,大容量通信時のバースト的なパケットロスを訂正できまる。現在,NTTでは次世代メディアトランスポートMMTの誤り訂正符号として,FireFort-LDGM符号の国際標準提案を行なっている。今回はFireFort-LDGM符号をMMTに組み込んだ世界で初めての実証実験となる。