JAMSTECほか、熱帯域におけるマッデン・ジュリアン振動の1ヵ月予測が実現可能であることを実証

海洋研究開発機構(JAMSTEC)基幹研究領域・大気海洋相互作用研究分野ポスドク研究員の宮川知己氏と、東京大学大気海洋研究所教授の佐藤正樹氏らJAMSTEC・東京大学・理化学研究所の共同研究チームは、熱帯域における主要な大気変動であり全球に影響を及ぼすマッデン・ジュリアン振動(MJO)について、スーパーコンピュータ「京」を利用して、地球全体で雲の生成・消滅を詳細に計算できる全球雲システム解像モデル「NICAM」による数値実験を実施し、約1ヵ月先まで有効な予測が可能であることを実証した。(ニュースリリース

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共同研究チームでは2007年に世界に先駆けて「地球シミュレータ」を用いたMJOの再現に成功しているが、今回の成果は「京」を用いて多数の緻密な予測実験を実施することにより、NICAMを用いたMJO予測が極めて高い精度で実現可能であることを示したもの。

MJOは熱帯地方の日々の天気に大きく影響を与えるほか、エルニーニョの発生・終息や、熱帯低気圧発生にも関係があると考えられている。本成果によりNICAMの優れたMJO予測精度が初めて実証されたことから、地球規模の大気変動の様子を早期に把握できるようになり、日本付近の季節予報や台風発生予測の精度向上にも貢献することが見込まれる。

また、未だ解明されていないMJOのメカニズムについても、観測では捉えきれない部分を本シミュレーションデータが補完することにより、その本格解明に向けて大きく寄与することが期待されている。