NCNP,ADHD児童に対するニューロフィードバック訓練の臨床研究に成功

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は2014年2月27日,病院と共同で,ADHD児童を対象にしたニューロフィードバック(NF)訓練効果を客観的に検証し,日本における実用化に向けた一歩を踏み出した(プレスリリース)。

1

NF訓練とは,自信の脳活動(脳波)をリアルタイムでモニタリングしながら,注意に関する脳活動のセルフコントロールを促進させる訓練法の一つ。欧米では,既にいくつかの研究チームで実用に関する成功事例が報告されているが,我が国での学術的な成功事例は報告されていなかった。

NCNP病院小児神経科外来通院中のADHD児10名(訓練開始時平均年齢:12歳6月)が今回のNF訓練に参加。訓練期間は,2013年7月から約3か月間,週2セッション(1セッションは,10分程度)に設定した。

NF訓練の効果を検証するため,訓練前・後で,対象児の注意課題(モグラーズ課題:のるぷろライトシステムズ)を実施している際の脳波を測定し,比較した。この課題は注意の持続に関する脳波(CNV)の評価に適していることが,知的障害研究部の研究によって既に明らかにされている。

分析の結果,注意の持続に関連するCNV振幅が訓練後に有意な上昇を示すことが明らかとなった。これらの結果は,訓練に参加したADHD児の注意の持続力が訓練後に上昇している可能性を示唆するもの。

NCNPの研究チームは今後も,より緻密な研究デザインの設定と研究実施を行なうことにより,日本におけるNF訓練の客観的評価を進めていく。我が国の発達障害児・者に対するNF訓練効果を実証した上で,将来的には医療的応用の可能性を検討していく。