京大ら,透明基材に応用が期待できる「透明紙」の開発に成功

京都大学と日本製紙は,紙を透明にする技術の開発に成功した。この技術は,プリンテッドエレクトロニクスや有機EL照明,有機薄膜太陽電池などのフレキシブルエレクトロニクス用透明基材の製造に利用されることが期待される。

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液晶ディスプレイや有機EL照明等には,従来ガラス基板が用いられてきた。しかし,これらのデバイスは重くて割れやすいガラス基板に比べ,一般に軽量で割れにくい高透明高分子フィルム基板への検討が行なわれてきている。しかし高透明高分子フィルム基板は,ガスや水蒸気を透過しやすく,線熱膨張係数が大きいという欠点がある。

これに対し,幅20~50nmの高弾性・低熱膨張セルロースナノファイバを透明なプラスチックと複合化させることで,透明性を保ちつつプラスチックに低線熱膨張性を付与することが検討されてきたが,セルロースナノファイバは,数%程度という低濃度でしか取り扱うことが難しく,機械的解繊による製造ではさまざまな要因によりコスト高になること,また性能としては,吸湿性の問題や,疎水性である樹脂との相溶性などの課題があった。

研究グループは,製紙用パルプがセルロースナノファイバの束であることに着目し,そこに化学修飾を行なうことでパルプを構成しているセルロースナノファイバ間の結束構造をほぐし,その間に樹脂を浸透させることによって,パルプの内部深くまで樹脂を浸透させると,透明なパルプ繊維複合樹脂材料が得られることを見出した。

これにより,透明低熱膨張材料の生産性が飛躍的に高まると共に,化学修飾によって,吸湿性や樹脂との相溶性の改善にもつながると考えられる。

実際に製紙用パルプを化学変性後にシート化し樹脂と複合化したシートは,セルロースナノファイバを複合化した透明シートとほぼ同等の透明性と,低線熱膨張率が得られることを確認した。

さらに,その透明紙上に導電性物質を塗布することで,導電性透明紙を作成することにも成功した。このことからこの技術が,有機EL照明,有機薄膜太陽電池などに用いられるフレキシブル透明基材(電極)に利用できるという可能性を見出した。

詳しくは京都大学 プレスリリースへ。