東大ら,3Dプリンタで成形する人工骨の薬事承認申請を完了

ネクスト21,東京大学,理化学研究所などの研究チームは,世界初となる3Dプリンタで成形するカスタムメイド人工骨を開発。関連事業を通じて同技術のヒトでの有効性と安全性を確認し,医薬品医療機器総合機構(PMDA)への薬事承認(製造販売承認)申請を完了した。

2

先天的骨欠損,後天的骨変形,がんなどの腫瘍摘出後骨欠損,外傷による骨欠損などの治療には,その欠損部への骨の移植が必要。日本では自家骨移植が第一選択肢であり,自己の足の骨や腰の骨を外科的に摘出し,手術室にて移植部の形状に削り成形していた。

この手術は自骨との癒合は良いが,患者への新たな外科侵襲があること,正確に成形して風貌を回復するのが難しいこと,手術時間が長くなり合併症の発生が多くなることなどが問題となっていた。

また,熱処理により焼結した人工骨のブロックから工作機械で削りだして成形する従来のカスタムメイド人工骨は,骨との癒合が難しく,遊離して炎症を起こし表皮から露出してしまうという問題があった。

海外では献体された死体から摘出された骨を保管して流通させるボーンバンクがあるが,他家骨には倫理的問題,感染の問題がある。更には,他家骨の在庫からサイズと形状の合うものを探し,ヒトの手で加工して移植対象患者の風貌に適した形状を作り出すことは困難である。

開発した人工骨は,3Dプリンタでの成形により,骨内部構造の設計に加え,0.1mm単位での形状再現が可能。また,熱処理が不要のため生理的に活性な特性をもち,自骨への癒合も早く,時間経過で自骨に変化(骨置換)するのが特長。

このカスタムメイド人工骨については,NEDOの事業で前臨床試験を完了し,NEDO事業終了後はNIBIOからの研究支援で臨床試験が実施されてきた。全国規模での臨床試験データから,ヒトでの有効性と安全性が確認されたのを受け,PMDAへの薬事承認(製造販売)申請を実施した。審査にかかる期間は10ヶ月程度で,2015年に実用化を予定する。

詳細はNEDO プレスリリースへ。