台湾の研究所,花を咲かせるホルモンがリン脂質と結合して開花を促進することを発見

台湾・アカデミアシニカ植物及微生物学研究所助研究員の中村友輝氏らは,花を咲かせるホルモン「フロリゲン」がリン脂質と結合して開花を促進することを発見した。

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フロリゲンは葉で合成されてから花芽に移動して作用する移動性のたんぱく質で,複数の分子と結合して開花を促進すると考えられているが,その実態にはまだ不明な点が多く残されていた。

今回研究員らは,フロリゲンの立体構造に脂質と結合すると考えられる部位があることをヒントに,リン脂質の一種ホスファチジルコリン(PCと)がフロリゲンに結合することを世界で初めて明らかにした。また,新たに開発中の代謝改変技術を用いて,PCの量を花の部分だけで増やすと花が早く咲き,減らすと逆に花は遅く咲くことを示した。

さらに,PC分子の種類が昼夜で変動していることを見いだし,夜の分子はフロリゲンと結合しにくいことを突き止めた。実際,代謝改変技術により夜の分子を日中に増産すると花は遅く咲くようになった。

以上のことから,フロリゲンは昼夜で変動するリン脂質と結合して花を咲かせるタイミングを決めているという全く新しいモデルを世界で初めて提唱した。開花のタイミングを調節する技術は,鑑賞用の花を一年中安定して供給することや果実の収穫高を上げるために極めて重要。また,今回新たに開発した代謝改変技術とあわせてバイオ燃料や有用物質の大量生産にもつながることが期待される。

詳しくはJST プレスリリースへ。