東大,浜松ホトニクスによる「宇宙のダークサイド(浜松ホトニクス)寄付研究部門」を設置へ

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構は,浜松ホトニクスによる「宇宙のダークサイド(浜松ホトニクス)寄付研究部門」を設置した。東大によれば,こうした基礎科学である素粒子物理学や宇宙物理学に対する寄付研究部門を設けるのは初めてという。

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宇宙にある物質・エネルギーのうち,原子や分子など私たちの知っている物質はわずか5%にも満たず,その95%以上はダークマターやダークエネルギーと言われている未知のものとされている。

それらは,時空の構造や素粒子に密接に関係していると言われ,Kavli IPMUではこれらの未知の物質・エネルギーの探索をはじめ,宇宙の成り立ちとその発展を研究し,現在の宇宙物理学・素粒子物理学の人類未知未踏の課題に挑戦している。

今回設置した寄付研究部門には,超新星の研究で世界的に知られる優れた業績を上げ,学士院賞を受賞した野本憲一 Kavli IPMU 特任教授が着任。欧米では寄付講座や寄付研究部門を担当する教授職は,寄付者の名前を付けたいわゆる「冠プロフェッサー」と呼ばれる習慣があるが,野本教授は「浜松プロフェッサー」としてダークエネルギーや超新星に関連した様々な研究を行なうとしている。

寄付研究部門という特徴を生かし,基礎科学の研究者と企業技術者等が,積極的に意見交換や研究成果をめぐる議論を行ない,新しい創造的アイディアを発展させる方針。

寄付研究部門を推進することは,将来の日本の学術と産業,双方の競争力の向上に繋がり,100年後の「究極のイノベーション」創出に向けて,土壌を耕し,種を撒くことを意味する。このような長期的な視野に立った企業からの支援は,学術研究と産業界との新しい協力関係を創出する上で極めて重要なことで,今回の寄付研究部門の設置が,産業界からの基礎学術分野へのより広範な支援に向けた,最初の大きなステップとなることが期待されている。

詳細は東大プレスリリース