NIFS,1億度に迫るイオン温度9,400万度を達成など核融合研究を更に前進

自然科学研究機構(NIFS)核融合科学研究所では平成25年度の研究において,次の3つに代表される世界をリードする研究成果を上げ,核融合研究を更に前進させることに成功したと発表した。

ヘリウム衝突によって誘起されるタングステン表面および内部の各種現象と,それを解明するための各種シミュレーション手法

具体的には,
①世界最大の超伝導核融合実験装置である大型ヘリカル装置(LHD)で実施したプラズマ実験の結果,1億度に迫るイオン温度9,400万度を達成。この超高温状態の実現とともに,長時間運転の領域も拡大し,2,300万度の電子温度を48分間,定常に維持することにも成功。

②ヘリウムが核融合炉内壁候補材料であるタングステンに衝突したとき,大量のヘリウムがタングステンの中で泡状になる(自己凝集する)ことによって表面部分が発泡スチロール状のナノスケール微細構造に変形することをコンピュータシミュレーションにより再現した。これは実験研究で観測されている材料表面の泡状化や毛細状ナノスケール微細構造形成の解明につながる成果。

③将来の核融合炉のマグネットに適用可能な大電流の「高温超伝導」導体の開発研究を進めた結果,マグネット製作の上限となる超伝導体断面積以下で,世界で類の無い10万アンペアの通電に成功。この結果は,日本で開発された高性能の「イットリウム系」高温超伝導線材と,東北大学との共同研究によって開発された低抵抗の接続技術を応用によるもので,高温超伝導体を用いた大型マグネットの製作を飛躍的に簡素化できることを提唱。

これらの成果は,4月2日から4日まで核融合科学研究所で行われる「平成25年度研究プロジェクト成果報告会」において発表される。

詳しくは自然科学研究機構プレスリリースへ。