2013年度の光産業国内生産額・全出荷額はプラス成長の見込み

2012年度分野別国内生産額実績

■情報通信分野,-7.0%の4,708億円
情報通信分野は光伝送機器・装置において,加入者系が3.9世代へと無線アクセス系の移行によってFTTH加入者の伸びが鈍化し,-26.5%となり,全体で-10.0%のマイナス成長となった。通信用発光・受光素子に関しては,1.31μm帯LDの発光素子がデータセンタ向けや無線基地局データ回線容量の増強により,49.0%と増加。全体で20.0%増加した。一方,受光素子は発光素子と連動して22.4%の増加を示した。光伝送リンクはネットワークの高速化に伴い,40Gb/s以上が伸びたものの,他領域が減少したために全体で-21.9%と減少した。光ファイバケーブルはFTTHの加入者数の伸びが7%に止まり,中国など新興国の需要の多いエリアへ生産がシフトしていることから-8.2%と減少した。

■情報記録分野,-39.7%の2,378億円
光ディスク装置は,再生専用装置がエコカー減税の終了やDVDプレーヤの海外生産シフトの継続により,-37.2%となった。一方,記録・再生装置はBlu-ray Disc(BD)レコーダ装置のみの統計だが,これも海外への生産が進んでいることに加え,地上デジタル放送特需の反動減により,-59.9%と大幅に減少。全体で-42.9%となった。光ディスク媒体について,CDは大半が台湾・中国などへ生産委託されており,ほぼ国内では生産されていない。さらに小型携帯音楽製品・小型USBメモリ・大容量ハードディスクへの移行が進んで市場が縮小していることから-17.0%と減少。追記型・書換型DVDは市場縮小と価格低下により,-17.2%。追記・書換型BDは価格低下や海外生産シフトが進んでいるものの,付加価値の高い業務用ディスクや2層,3層ディスクの生産の増加によって16.7%増となった。しかし,全体では-6.3%となっている。

■入出力分野,-11.0%の1兆4,655億円
入出力分野では光学式プリンタと光学式MFP(複合機)が新興国などの海外市場の確保,さらに低価格品が主流のため,海外生産シフトが進み,国内生産は高機能製品生産のみとなり,それぞれ-19.0%,-11.9%と減少した。デジタルカメラは,一眼レフタイプが26.8%の増加となったが,海外生産が中心のコンパクトタイプは-15.5%と減少。しかし,国内生産が中心である一眼レフタイプの増加を受け,全体で2.2%のプラス成長を示した。デジタルビデオカメラとカメラ付き携帯電話に関しても海外生産シフトにより,それぞれ-36.2%,-25.0%と減少した。

■ディスプレイ・固体照明分野,-9.7%の2兆4,759億円
テレビなどFPD装置は-59.2%と減少したものの,プロジェクションディスプレイ装置は高輝度モデルが牽引し,9.3%の増加となった。しかし,全体では-53.1%と大幅に減少した。ディスプレイパネルはスマートフォン向けが伸びているものの,テレビ向けが減少したため,-5.9%となった。固体照明器具・装置は,LED照明器具・装置の需要が拡大したことで,92.7%の大幅に増加。しかし,LEDランプが-67.3%と減少。ただ,全体で58.6%と3年連続のプラス成長を示した。発光ダイオードはスマートフォンやタブレットPC用バックライトや照明器具向けが好調に推移したことで,12.0%と増加した。

■太陽光発電分野,40.7%の1兆8,835億円
太陽光発電システムが国内では余剰電力買取制度や住宅用太陽光発電システムに対する補助金制度が後押しし,導入機運が高まっているのに加え,メガソーラの建設も継続しており,63.6%と増加。太陽電池セル・モジュールは国内市場の拡大が見られるものの,海外生産が進み10.6%の増加に止まった。

■レーザ加工分野,-17.9%の3,457億円
炭酸ガスレーザは利用分野の70%弱を占めている切断分野でファイバレーザへの置き換えが進み,そのシェアを低下させるとともに,プリント基板穴あけ用装置の設備投資が調整局面を迎えたことで,-34.7%と減少。固体レーザは穴あけ・切断装置がスマートフォン向けガラス加工用途で好調に推移したが,半導体・液晶向け装置が停滞したことで,-7.8%と減少した。エキシマレーザについてもスマートフォン向け半導体製造設備の投資が一段落したことで,-29.1%と減少。一方でファイバレーザや半導体レーザは用途が拡大傾向にあって,57.2%と伸長した。しかし,全体では-24.5%となった。

■センシング・計測分野,15.6%の1,595億円
指紋認証装置などセキュリティ機器は海外生産への移行が進んでおり,また人体センサは前年の大きな伸びの反動を受けて市場が縮小した。一方で画像センシングシステムはライン生産コスト削減・車載のセンシング機能として成長を続けているが,全体では-16.4%となった。光測定器は光情報通信分野の投資が低調なため,-5.6%と減少した。