立命館大,低コストで製造可能な新縦型深紫外LEDの開発に成功

立命館大学総合科学技術研究機構研究員の黒瀬範子氏と同上席研究員の青柳克信氏は,従来の1/5以下のコストで製造を可能にする新しいタイプの縦型深紫外LED(Ref-V DUV LED)の開発に成功した。

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LED の構造には横方向に電流を流す「横型」と縦方向に電流を流す「縦型」がある。縦型の方が電極間の距離が短いために抵抗のロスが少なく,横型よりも発光効率を上げることができる。

さらに横型LEDは製造工程にレジストプロセスが複数回あり,これによってコストが高くなる。一方,従来構造の縦型深紫外LED は基板からAIN 層までをレーザリフトオフ法で剥離を行なうなが,その剥離が難しいこと,レーザによるLED の損傷がおこる事によって,発光効率が下がる問題がある。

開発に成功した新しい縦型深紫外LEDは,構造の内,絶縁体であるAIN層を工夫して導電化させることで,従来の縦型深紫外LEDの製造過程で剥離を行なう必要があった,基盤からAIN層を剥離するプロセスを無くすことに成功した。

具体的には,直径1~2μmのビアホールを縦型深紫外LEDの結晶成長の際にAIN層に作成することで,ビアホールが電流を流す媒介となり,AIN層全体として導電性を持つというもの。これにより,生産のプロセスコストを1/5以下にすることが可能となった。なお,AIN層を剥離する際に生じていたLEDの損傷も防ぐことができ,発光効率も従来の縦型LEDに比べて向上する。

今後研究が進めば,ビアホールを選択形成させることにより,絶縁体のなかに導電体部分を部分的に結晶成長させ,安価なデバイスを作成することもできるという。また,AlN が持つ性質で絶縁性と熱放電性が高いことに加えて,選択成長による部分的導電性を活用することによって,ヒートシンクでありながら部分的に大電流を流す事が可能。もちろん縦型深紫外LED のコストを下げることが可能で,大量生産に向いているとしている。

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