東工大ら,鉄系超伝導物質で構造変化を伴う新しい磁気秩序相を発見

超伝導は,物質の温度を下げていくとある温度(=超伝導転移温度)以下で突然電気抵抗がゼロになる,あるいは外からの磁場を完全に退けるという現象。これらの性質は様々な応用が期待されているが,現在知られている超伝導物質では超伝導転移温度が室温に比べて相当低く,大掛かりな冷却装置が必要になるという問題を抱えている。

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これまで超伝導転移温度は最高で140 K(-133 ℃)に留まっており,室温に近い高温超伝導の実現には新たな発想に基づく超伝導物質の探索とそのメカニズムの理解が必要と考えられていた。

高エネルギー加速器研究機構(KEK)の研究グループは,東京工業大学の研究グループと共同で,マルチプローブの手法を用いて鉄系超伝導物質であるLaFeAs(O1-xHx)の磁気的な性質および構造を調べ,水素置換濃度xが0.4を超える領域で微細な構造変化を伴う新たな磁気秩序相が現れることを発見した。

発見した磁気秩序相は,同物質において2012年に明らかになった第二の超伝導相と隣接しており,従来知られていた母物質(x=0)における磁気秩序相とも質的に異なることから,もう一つの母物質が見出されたことになり,新たな超伝導機構解明の有力な手がかりとなることが期待される。

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