2013年の世界のスマートフォン出荷台数,新興国市場を中心に拡大し10億8,821万台に

矢野経済研究所では,世界のスマートフォン/タブレット市場に関する調査を実施した。それによると,2013年の世界のスマートフォンは10億8,821万台。携帯電話市場は新興国を中心に高速・大容量の通信インフラ整備が進んでいることもあり,スマートフォンの出荷台数は高水準で推移した。2014年の世界のスマートフォン出荷台数は13億4,188万台を予測する。先進国市場では需要が一巡しており,今後の市場拡大は新興国が中心となる見通し。

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価格帯別動向
これまでスマートフォン市場は先進国市場を中心に400ドル以上のハイエンド製品が主体だったが,新興国をターゲットに開発された200ドル未満のローエンド製品のスマートフォンが急速に出荷台数を伸ばしている。なかでも中国では「1,000元スマホ」(1元=16円換算で約16,000円)と呼ばれる低価格スマートフォンの登場により,新興メーカの出荷台数が急速に増加しており,このうち数社はグローバル市場でビジネスを展開する企業へ成長しつつある。

2013年の世界のスマートフォン出荷台数は10億8,821万台のうち,ハイエンド製品は4億4,432万台,ミドルエンドが3億7,529万台,ローエンドが2億6,860万台だった。2014年のスマートフォン世界出荷台数は13億4,188万台を予測するが,一方で伸び率は鈍化する見通し。今後のスマートフォン市場は新興国市場におけるローエンド製品,特に100ドル未満の超低価格機への対応がより重要となる。2018年には21億7,495万台の出荷を予測するが,世界市場全体としては,概してミドルエンド製品は縮小し,ローエンドとハイエンド製品の二極化が進むとしている。

ディスプレイサイズ別動向
2013年のディスプレイサイズ別スマートフォンの出荷台数は,5インチクラス(4.1~5.3インチ以下)が5億2,216万台と最も多く,4インチクラス(4.0インチ以下)が4億5,718万台,6インチクラス(5.4~6.9インチ以下)が1億887万台だった。今後,スマートフォンのディスプレイ大型化の流れを受けて4インチクラスの出荷台数は減少が見込まれ,5インチクラスの出荷台数が大きく増加する見通し。

5インチクラスについても片手で持てる大きさの限界となる5インチ前後の大画面ディスプレイを搭載した製品と,低価格を実現した4.5インチ前後のディスプレイを搭載した製品に大別される。また,6インチクラスではアジア市場を中心にファブレット(スマートフォンとタブレットの中間に位置付けられる大型ディスプレイを搭載したスマートフォン)の人気が高まっており,4K解像度テレビ相当の高画質を実現したディスプレイを搭載したハイエンド製品を中心に拡大が見込まれる。

世界のタブレット市場の概況と予測
タブレットはスマートフォンとモバイルパソコンの中間に位置し,可搬性に優れると同時に操作性,性能面に於いても使い勝手のよさに加え,価格がリーズナブルなことも相まって,インターネット閲覧やゲーム、電子書籍コンテンツを利用する端末として市場が急拡大した。

2013年の世界のタブレット出荷台数は2億2,090万台だった。ディスプレイサイズ別では7インチクラス(7.0インチ以下)が8,925万台と最も多く,次いで8インチクラス(7.1~8.9インチ以下)が7,805万台,10インチクラス(9.0~10.9インチ以下)が4,910万台,11インチクラス(11.0インチ以上)450万台であった。

200ドル以下の低価格タブレットの多数含まれる7インチクラスが出荷台数を大幅に伸ばすのと同時に,400ドル前後の製品が集中する8インチクラスの製品も出荷台数を伸ばしている。一方,10インチクラスの製品は7インチ,8インチクラスのディスプレイを搭載した製品増加の影響を受けて,前年実績を下回った。

2014年の世界のタブレット出荷台数は3億290万台を予測。今後は7インチ,8インチクラスの製品が市場の中心となる見通し。一方,10インチ,11インチクラス以上の製品についてもタブレットの市場拡大に伴い,法人向けやモバイルノートパソコンの買い替え,買い増し需要を中心に出荷台数が増加する。

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