古河電工,世界で初めて光給電カメラを製品化

古河電気工業は光ファイバ技術を活用して,75mWの電源を供給すると同時に,10Km離れた場所に画像を低損失で伝送する光給電カメラの製品化に世界で初めて成功した。

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同社は各種光ファイバセンサの開発と製品化に取り組んでいるが,光ファイバセンシングシステムの利点の一つに,フィールドに設置されるセンサと屋内の制御装置が電気的に絶縁されるという特性がある。これにより,例えば災害時に発生する停電や落雷等の影響を受けにくい。同社はこの点を活かすため,光ファイバを使って電力を供給する監視カメラシステムを開発した。

開発した光給電カメラは,給電用と映像伝送用の2本の光ファイバを繋ぐだけで,遠隔地にあるセンター装置に画像を送ることが可能。使用する光ファイバは,一般的に通信に使用しているSM型光ファイバ。給電用に1480nm,画像伝送用に1310nmの波長の光を使用し,10Km離れた場所から伝送損失3dBという低損失での画像伝送を実現した。

光源装置から給電用レーザをファイバで伝送し,受光器で光電変換して電力を取り出す。同社は光ファイバセンシング製品の一部として光給電システムをラインナップしているが,これまではカメラのような消費電力の大きな装置の給電は考慮されていなかった。

今回,カメラの使用電力を極限まで抑えることで光給電カメラを実現した。光源装置側は400mWのレーザを送信するが,受光部分では200mWに減衰し,さらにカメラに使える電力は60mW程度となる。そのため,オートフォーカスやズームは附属せず,解像度は640×480(30万画素),撮影速度は1f/s となっている。

同社では今後,防災活動に積極的に取り組んでいる地方公共団体等を中心に提案し,2015年度までに1億円の売上を目指す。将来的には産業用用途として,さらなる高機能(低損失,長距離)化な製品化に取り組むとしている。

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