東工大,二酸化炭素の含有率が高いプラスチックを開発

東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻教授の野崎京子氏,同助教の伊藤慎庫氏,同大学院生の中野遼氏は,従来の二酸化炭素から合成されたプラスチックが抱えていた問題点をすべて解消する新しいプラスチックを,二酸化炭素とブタジエンから合成することに成功した。

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合成ゴムの原料として大量に生産されているブタジエンと二酸化炭素から,両者が含まれる物質を合成しようとしても,1種類の化学反応だけを利用したのでは理論的に合成は不可能。研究グループは,2種類の化学反応を組み合わせることで,この不可能を可能にし,新しいプラスチックを開発した。

新しいプラスチックは,燃やしても窒素酸化物は発生せず,二酸化炭素の含有率は29%と高い。また,高温でも容易に変形しない一方で,分解温度は最高340 ℃と高いため,溶融成形が可能。今後は,筐体,フィルムなどとして,汎用用途での利用が期待され,生産量の拡大と生産プロセスの改良次第では,将来,二酸化炭素排出量を(わずかながら)軽減できる可能性がある。

二酸化炭素は安価で大量に入手可能な炭素資源であり,二酸化炭素を原料としたプラスチックはこれまでも合成されてきた。しかし,従来の方法で二酸化炭素から合成されたプラスチックは,それぞれ,燃焼による有毒ガス(窒素酸化物)の発生、総重量における二酸化炭素の利用率の低さ,室温付近で硬さが大きく変化するという耐熱性の低さなどの問題点があった。

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