東北大,液晶の電場配向に対する閉じ込め効果を発見

東北大学原子分子材料科学高等研究機構教授の栗原和枝氏の研究グループは,独自に開発した共振ずり測定法(向かい合わせに配置した二つの表面間に液体を挟み,一方の表面を面と水平方向に振動させて,その際のせん断応答を測定することで,表面間の液体の特性を高感度に調べる方法)を駆使し,基板の間の距離約13 nm以下の空間に閉じ込められた液晶は,電場により分子の向きを変えることが出来なくなることを見いだした。

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液晶ディスプレイは,2枚の基板が液晶分子を挟んでできた素子から構成されており,一定方向に並んでいる(配向している)液晶分子の向きを,電場を用いて変えることで表示を制御している。現状では,液体や液体や晶分子が晶分子がどの程度空間に閉じ込められると,どの程度まで運動性が制限されるのか?といった具体的で定量な情報は限られており,その物理化,その物理化学的な機構は解明されておらず,予測できるよう理論も無かった。

研究グループでは,基板表面間の距離を連続的に変えながら表面間の液体の特性を高感度に調べることができる共振ずり測定法を独自に開発し,表面間距離をナノメートルレベルで変えながら液晶の配向,およびその電場に対する応答の評価を行なった。その結果,表面からの距離,或いは表面間の距離がある臨界値以下になると,電場などの外場により分子の向きを制御できなくなることを初めて示した。

今回の研究成果は,基礎科学としては“閉じ込め効果(固体壁により分子の動きが制限される効果)”の理解につながると期待され,応用面ではディスプレイなどの液晶デバイスの微細化の限界を知る上で非常に重要な成果と言えるもの。

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