京大、水の界面で起こるフェントン反応のメカニズムを解明

京都大学白眉センター特定准教授の江波進一氏、北海道大学環境科学院博士研究員(日本学術振興会PD)の坂本陽介氏、米国カリフォルニア工科大学客員研究員のAgustin J. Colussi氏らの研究グループは、気液界面に存在する化学種を選択的に検出することのできるこれまでにない実験手法を用いて、水の界面で起こるフェントン反応のメカニズムの解明に世界で初めて成功した。

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二価の鉄イオンと過酸化水素の反応[Fe(II)+H2O2]はフェントン反応と呼ばれ、大気化学、生化学、グリーンケミストリーなど様々な分野で重要な役割を果たしている。しかし、その反応機構はいまだによくわかっていない。

近年、空気-水などの水の界面(境界相)は水中などの均一な場に比べて特殊であり、界面特有の多くの興味深い現象が起こることがわかってきた。水の界面は大気中の空気-雲の水滴界面や生体内での細胞膜-水界面など、我々の身の回りに多く存在しており、そこで起こっている界面フェントン反応は特に重要な役割を担っていると考えられる。しかし、ナノメートルほどしかない極めて薄い水の界面に存在する化学種の反応を直接測定することは、これまで非常に困難だった。

研究グループは気液界面に存在する化学種を選択的に検出することのできるこれまでにない実験手法を用いて、水の界面で起こるフェントン反応のメカニズムの解明に世界で初めて成功した。その結果、気液界面のフェントン反応は液中に比べて千倍以上速く進み、四価鉄Fe(IV)=O中間体と三価鉄Fe(III)を生成することが明らかになった。この結果はさまざまな分野に大きなインパクトを与えることが予想される。

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