京大ら、従来困難とされる農地土壌・側溝汚泥から放射性セシウムの高効率除去に成功

京都大学農学研究科准教授の豊原治彦氏は、アース、東京産業との共同で、従来洗浄分級が困難とされる75μm以下の微粒子分が多い農地土壌、側溝汚泥、焼却灰等についてセシウムの除染減容化技術実証試験を行ない、これら全ての対象物について高効率に除去することに成功した。

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今回、ナノバブル水で洗浄分級することによって、放射性物質を土粒子や焼却灰から分離回収し、さらに、特殊なサイクロン分級システムを組み合わせることにより、セシウムが最も吸着されている2μm~5μmの範囲の微粒子を効率よく分離回収することが出来た。

また、汚染土壌および焼却灰を減容化することにより発生する、高濃度放射性物質濃縮物からの重金属や放射性物質が再溶出することが懸念されているが、豊原准教授とアースで独自に開発された天然由来の資源からなる不溶化効果をもった吸着薬剤(アースプロテクター)を使用することにより、これらを完全に防止することが可能となったことがもう一つの大きな特徴。

さらに、使用する設備には、不溶化された状態の高濃度放射性物質濃縮物を安全に遮蔽容器に格納させる、無人自動格納装置がシステムに組み込まれているため作業員の被ばく防止も考慮されている。

洗浄水に移行した放射性物質は洗浄水を再利用できることから、汚染水の発生・排出は無く、汚染の拡散はない。また、化学物質を一切使用しないことから、水処理設備がコンパクトになり、低コスト化はもちろんのこと、移動式設備としての対応も可能であることも大きなメリットになるとされている。なお、技術・システムについては、京都大学とアースが共同で特許を取得している。

この技術により、東京電力福島第一原子力発電所事故による除染廃棄物量を大幅に減容化できることが期待される。

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