大阪大学,テラヘルツ光を金属板で偏光制御する技術を開発

大阪大学基礎工学研究科准教授の永井正也氏,同教授の芦田昌明氏とアイシン精機の研究グループは共同で,金属板を等間隔に並べただけでテラヘルツ周波数帯の電磁波の偏光を制御する技術を開発した。

阪大_金属板偏光制御
位相板による電磁波の偏光制御の概念図。直線偏光の電磁波を位相板に入射すると,透過波の偏光が大きく変化する。写真右下が金属板だけで作製した位相板。

今回研究グループは,マイクロ波領域の導波路技術をテラヘルツ周波数領域に拡張することで位相板が構築できることに注目。化学エッチングによって数10μm程度の周期的な開口を持つ金属板を整形し,等間隔に配置して素子を作製した。作製にあたっては,金属平行平板間に電磁波を入射すると,その偏光の向きによって伝播する電磁波の移送の進み方が異なるという,この位相変化がテラヘルツ周波数領域で最適になるようにした。作製した素子は単純な構造であるものの,周波数0.67~1.21THzの周波数帯で位相板として偏光が制御できることを実証したという。

この研究で得られた位相板は,原理的には大面積でかつ低価格で作製できるとしている。また,開口や平板間の距離を制御することによって設計周波数を中赤外領域まで変えることができるため,テラヘルツ周波数帯のアイソレータや偏光に敏感な高感度赤外光センシングや,その他の新しい赤外光利用の展開が生まれることが期待されている。

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