新日鐵住金,レーザ加工特性に優れる超微細結晶粒のステンレス鋼板を開発

新日鐵住金は,量産化できるSUS304(18Cr-8Niステンレス鋼)として世界最小とする超微細結晶粒を持つ「SUS304 H-SR3」(H-SR3)を開発した。

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開発したH-SR3は極めて微細な結晶粒となっている。

このH-SR3は,エッチング加工やレーザ加工などの精密加工分野で使用される板厚0.1mm前後の極薄ばね用ステンレス鋼板で,結晶粒微細化により精密加工性を向上させ,電子機器の小型化や高密度実装化に対応した。

精密加工用途に使用される鋼板には,板厚精度,反りや波打ちのない平坦形状,および加工後に反りやねじれなどの変形を生じないことが求められる。同社では平坦度矯正と残留応力低減によって精密加工用途に最適化したステンレス鋼板を提供しており,エッチング用途やメタルマスクなどに使用されている。近年はスマートフォンやタブレット端末など携帯型電子デバイスの小型化,高密度実装化により加工精度に対する要求はますます高まっている。

今回開発したH-SR3は「独自の成分設計」と「冷間圧延と熱処理の制御」によって平均結晶粒径2μm以下(一般的なSUS304の1/10以下)までの微細化を達成し,世界で初めて量産化に成功したという。

現在,精密加工用ステンレス鋼板の需要は,全世界で年間1000トン以上といわれており,今後,スマートフォンなどの携帯型電子デバイスの増加とともに,さらに増えると考えられている。同社ではこのH-SR3を,一層加工精度要求の厳しい用途にも拡販していくとしている。

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