原研など、高い細胞接着性を持つ生体に優しいプラスチックの開発に成功

日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究部門環境材料プロセシング研究グループ任期付研究員の大山智子氏は、早稲田大学理工学術院客員准教授の大島明博氏ら、大阪大学産業科学研究所招聘教授の田川精一氏らと共同で、集束イオンビームを使うことにより、局所的に細胞接着性の高い部分を持つ生体に優しいプラスチックの開発に成功した。

131213genken1

医療や医療応用に向けたバイオ研究の先端技術である医療マイクロマシンやlab-on-a-chip(ラボチップ)の開発では、細胞接着性をはじめとする特定の機能を自由に制御した生体親和性材料の創製がカギとなる。生体親和材料は熱に弱いものが多く、微細な加工を精密に行うことは困難だった。

この課題を解決するために集束イオンビームを使った微細加工技術の最適化を行い、熱に弱いプラスチックでも、60 nm幅の溝などの超微細構造を±10 nm以下の精度で加工することに成功した。さらに、加工と同時にダイヤモンド・ライク・カーボン様の表面状態を作ることで、局所的に細胞接着性の強弱を制御することが可能になった。

今後も材料表面の微細加工技術(形状パターニング)と局所的な機能化(機能パターニング)という2つの技術の融合による材料創製技術の高度化を進め、医療材料の実用化を進めていく。

詳しくはこちら