慶大、針状ダイヤモンド電極でpHの簡便な生体内測定に成功

慶應義塾大学理工学部教授の栄長泰明氏らは、慶應義塾大学医学部教授の佐谷秀行氏らと共同で、針状に加工した導電性のダイヤモンドを電極(ダイヤモンド電極)として用いることで、胃内部の水素イオン濃度指数であるpHを簡便にリアルタイムで測定することに成功した。

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pHの変化は、生体内のさまざまな生理学的状態や病理学的症状に影響を及ぼし、腫瘍組織でのpHの変化は腫瘍細胞の代謝の状態を反映することから、リアルタイムモニタリングが有用であると期待されている。しかし、従来のガラス電極では小型化が難しく壊れやすいなどの面があるため、簡便、迅速かつ高感度で、生体へのダメージが少ないpHモニタリングの方法が求められていた。

研究グループは、ダイヤモンド電極を針状に加工し、直接胃の粘膜内に挿入することで、生体組織内でのpHを簡便に検出できる方法を開発することに成功した。胃炎、胃がん、胃酸過多、逆流性食道炎などの胃酸の状態に関連する症状を持つ患者において、リアルタイムに高感度でそのpHをモニターすることが可能になった。

今後は、胃に限らず、食道や十二指腸をはじめ、さまざまな生体組織におけるpHモニターにも使用されることが期待される。さらに、ワイヤレスのデータ取得システムと組み合わせることにより、従来電極では実現できないカテーテルに依存しない、患者にやさしいpHモニター法へ展開できると期待される。

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