理研ほか、従来の数万分の1の触媒量で機能するパラジウム触媒を開発

理化学研究所、科学技術振興機構、九州大学は、有機太陽電池材料や医薬品の合成に使用可能で、高効率な触媒反応を示す「シリコンナノワイヤーアレイ担持パラジウム触媒」の開発に成功した。

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触媒は、特定の化学反応の反応速度を速める物質であり、さまざまな化学製品の製造に用いられている。触媒を利用し、2つの化学物質を選択的に結合させるクロスカップリングという反応は、医薬品合成、機能性材料合成、石油化学製品製造において重要な役割を果たしている。しかし現在、パラジウムを触媒として用いたクロスカップリングでは、高価なレアメタルであるパラジウムを大量に使用する方法しか確立されていない。このため、微量で機能する触媒が開発できれば、低コスト化や省資源化、レアメタルへの依存低下につながる。

共同研究グループは、原料1 molに対して1 ppm未満で機能する固定化触媒の開発を目指し、シリコンナノワイヤーアレイにパラジウムナノ粒子を固定させた「シリコンナノワイヤーアレイ担持パラジウム触媒」を開発した。実際に、この触媒を使い、クロスカップリングの反応のひとつである溝呂木-ヘック反応を行ったところ、従来に比べて数万分の1の量に相当する0.49 ppmで反応が進行した。また、触媒活性の指標である触媒回転数も200万回転に達し、この反応に有効な固定化触媒として世界最高効率を実現した。

今後、さらに触媒の改良が進むと、大規模な化学プラントで実用可能な触媒へと発展していく可能性がある。

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