理研、ストレスに対する防御応答のバランスを保つ機構の一端を解明

理化学研究所は、生物が持つストレスに対する防御応答のバランスを保つ機構の一端を、大腸菌を用いた実験によって発見した。

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研究グループが、ストレスを与えた環境で大腸菌を育成したところ、有害な過酸化水素を分解する酵素「カタラーゼ」とHfqが大きな複合体を形成することを発見した。この複合体の構造を大型放射光施設「SPring-8」で解析したところ、HfqのRNAとの結合に関与する部位にカタラーゼが結合していることが分かった。

細菌内に多量のカタラーゼが存在するときにできるこの複合体により、HfqはRNAと結合できなくなり、カタラーゼを含むストレス応答タンパク質の必要以上の合成が抑制されていることが分かった。これは、生体内にHfqの働きを制御して、タンパク質の合成量を調節し、ストレスに対する防御反応のバランスを保つ機構があることを示している。

この成果は、Hfqやその仲間のタンパク質が関わる多くの生命反応への理解を深めるとともに、得られた構造情報を基にタンパク質合成制御機構の生物工学への応用につながることが期待できる。

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