浜松ホトニクス,耐振特性を1.7倍向上した石油探査用ヘッドオン型光電子増倍管を発売

浜松ホトニクスは,耐振特性を従来製品の1.7倍向上した,石油探査用ヘッドオン型光電子増倍管の新製品「R8874-01」を,11月1日からシェールガス・オイル掘削開発などの用途に向けて発売する。価格は735,000円。

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近年,石油業界では,掘削しながら地層を測定するMWD(Measurement While Drilling)という技術で物理検層が行なわれている。MWDでは,掘削ドリルの近くに測定機器が配置されるため,高温や振動,衝撃などの耐環境に優れた光電子増倍管が用いられている。

石油の生産量を効率的に増やすには,掘削ドリルを一旦稼動した後,掘削範囲を広げる為に水平や垂直方向に長い距離を掘削する必要がある。そのため,振動や衝撃に耐え,より深い高温地層での掘削が長時間可能となる信頼性の高い光電子増倍管の開発が求められていた。

このヘッドオン型光電子増倍管は,電極を固定するための金属を挟み込んだセラミック側管を使用することにより,耐振特性を従来製品の1.7倍と大幅に向上し,硬い岩盤の掘削などの過酷な環境でも高い信頼性と安定動作を実現した。また,同社従来製品と同様に,高温環境においても雑音の少ない光電面と二次電子放出材料を用いることによって地下約5,000mにおける温度,+175℃で安定動作する。

これにより,通常一回の掘削コストが数千万円掛かるといわれる石油探査において,掘削距離の延伸のみならず硬い岩盤の掘削が可能となり,効率的な生産を実現する。また,石油や天然ガスなどの地下資源掘削のための地質調査はもとより,耐環境性能を要求される航空,宇宙開発関連の付帯設備,環境モニタ用としても販路を広げる。同社では,さらに深く地下約5,700mまで掘削が可能とされる,+200℃の高温に対応する製品開発も進めている。

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