慶大、皮膚の遺伝病「長島型掌蹠角化症」の原因遺伝子を同定

慶應義塾大学医学部皮膚科学教室専任講師の久保亮治氏を中心とした、慶應義塾大学医学部・国立成育医療研究センターらの共同研究チームは、遺伝性掌蹠(しょうせき)角化症の1つである長島型掌蹠角化症の原因遺伝子変異が、SERPINB7の変異であることを突き止めた。

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この病気は、乳児・幼児期から手の平・足の裏の皮膚が赤みをおびて分厚く固くなってくる病気。1977年に日本人皮膚科医、長島正治により初めて報告され、現在では報告者の名前を冠して長島型掌蹠角化症と呼ばれている。これまで、この病気の原因は全くわかっていなかった。

研究チームは次世代シーケンス技術を用いて、解析に協力した長島型掌蹠角化症患者とその両親のゲノムDNAを解析し、蛋白分解酵素阻害因子SERPINB7の遺伝子変異が、この病気の原因であることを初めて明らかにした。見つかった遺伝子変異を持つ人の頻度から、長島型掌蹠角化症の患者数は、日本で1万人以上、中国では数十万人と見積もられた。

SERPINはほとんど全ての生物が持つ蛋白分解酵素阻害因子で、ヒトは36種類のSERPINを持つことが知られている。SERPINB7はその中の1つ。この研究成果によって、長島型掌蹠角化症の起こる仕組みの研究が進み、病気が起こる仕組みに基づいた新しい治療法開発の研究が進むことが期待される。

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