浜松ホトニクス,MEMS半導体製造技術を用いた超小型光電子増倍管マイクロPMTを開発

浜松ホトニクスは,半導体製造技術により量産対応が可能で,超小型な次世代光電子増倍管マイクロPMTの近赤外域に高感度なマルチアルカリ光電面を新たに開発。機器に組み込み易い電圧分割回路を内蔵したマイクロPMTアッセンブリ「H12400-01-01」と,小型高圧電源を内蔵したマイクロPMTモジュール「H12402/H12403シリーズ」を,11月1日から国内外の分析・計測機器メーカー向けにサンプル出荷する。

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この製品は,紫外線300nmから近赤外線850nmまで広い波長域で,近赤外域に感度を広げたマルチアルカリ光電面の光電子増倍管(以下PMT)に,電圧分割(デバイダ)回路を内蔵したアッセンブリと,新設計の駆動用小型高圧電源を内蔵し,同社製従来品PMTモジュールと比べ約3分の1の容積にした世界最小モジュール。機器設計の自由度を考慮して,奥行きが薄いタイプ「H12402シリーズ」と幅が狭いタイプ「H12403シリーズ」を用意した。

アッセンブリは,駆動用高圧電源を接続することで動作し,検出部を極力小さくして機器に組み込み易くしている。モジュールは,+5Vの低圧電源を接続することで動作するので,PMTの扱いに慣れていない光半導体素子のユーザ等にも使い易くなっている。

マルチアルカリ光電面マイクロPMTの主な仕様は,有効面1mm×3mm,量子効率20%(最高感度波長420nm),増倍率10万倍以上。また,昨年11月に発売した,紫外線300nmから可視光650nmに感度があるバイアルカリ光電面マイクロPMTのモジュールタイプも同時発売する。この製品は,顧客からの機器設計の要望に応じて,組み込みに適した小型化,マルチチャンネル化など、形状のカスタマイズにも展開が可能。

マイクロPMTは,半導体製造技術を用いるため量産対応が可能になる。さらに,小型,軽量で衝撃に強いため,高性能な携帯型分析機器などの開発に適している。これらが実現すれば,大病院などで行なっていた検体検査が,開業医や救急車,さらには家庭でも可能となり,対処治療から疾病予防,心身の健康増進までが実現する可能性がある。また,水質・大気汚染の計測など環境分野などで,地域や個人レベルで有害物質などの同定が可能になると期待される。

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